「麻生先輩もこの間の一件知ってたんでしたっけ」



宮内君がそういうと、何故か自慢げに胸を張る麻生先輩。



「そうなんだよ。あ、キミ達はあの後のこと知らないだろうから、このオレが特別に教えてあげよう。

そりゃもう大変でさ、まりやちゃんとヒロ君がね!

で、何が驚いたってヒロ君の足が速いことにいちばん驚いてさ」



自慢げに話す麻生先輩だけど、聞いてる2人は表情からしてきっと、何言ってるんだこの人って思ってそうな気がする。



「全っ然わかんないんだけど! あんた話を端折りすぎでしょ!!」



「まぁ、これはねヒロ君とまりやちゃんとオレの3人だけの秘密ってことで」



「だったら言うな!!」



栞に突っ込まれて、ははっと笑う先輩。



きっと私が嫌な思いをしないようにって、気を遣ってくれてるのかもしれない。



大翔君はあれから、篠原さんについては何も言わないけど、私には心配しなくていいって言ってくれた。



本当に大丈夫かな。



ダメダメ! すぐに不安になるのは私の悪いところだよ。



大翔君のこと信じなきゃ!