まりやのことを不安にさせちゃいけないと思う俺の態度が、逆にこいつを不安にさせて心配させていたんだと思うと胸が痛んだ。
「なんか俺達って、ちょっとのことで空回りしてバカみたいだよな」
こうして分かり合ったあとなら、いくらでも笑い話にできるのに。
「相手のことを想ってるから、空回りしちゃうのかな。
どんなに格好悪くても、好きって気持ちがあるから一生懸命になっちゃって」
「そうかもな。俺には、今までもこれからもお前だけだし、お前以外の奴が隣にいるなんて考えられないから。
だからさ、まりやのためになら恋愛バカになってもいい」
冗談めかして言う俺に、まりやは赤くなって「私も」なんて可愛いことを言ってくれる。
そんな可愛いまりやの頭を再び自分の方へと抱き寄せると、まりやが俺に体を預けながら聞き辛そうに聞いてくる。
「どうして……篠原さんは大翔君に抱き着いてたの?」
不安が入り混じるその声に、誤解をとかなきゃいけないいちばんの問題に姿勢を正す。
「米倉からお前が篠原のことを聞いたって教えられて、今日1日まりやの態度がおかしかった理由がわかったんだ。
で、あいつも根がお節介な奴なんだろうな。
米倉からお前が麻生先輩と帰ったって聞かされて、いても立ってもいられなくて探してたんだ。
そしたら、校門で篠原が待ち伏せしてて」
その後、まりやを探しながら公園まで行ったこと、そして自分が無視されたことの腹いせに、まりやが近くにいることを知ってて俺に抱き着いてきたことをまりやに話した。
俺の話を聞いていたまりやは、不安が完全に消えたわけじゃなさそうだったけど、ちゃんとわかってくれた。
「篠原さん、本当に大翔君のことが好きなのかな……」
ぽそっと呟いたまりやの目を真っ直ぐに見つめる。