「まりや落ち着けって! 俺の話ちゃんと聞いて」
「や……っ。大翔く……やだよ……ぉ……」
俺に手を掴まれて逃げられないまりやはその場に座り込んだ。
「はぁはぁ……。あー、やっと追いついた……!
て、ヒロ君足速すぎでしょ!!」
俺のあとをヨロヨロと走ってきた麻生先輩。
泣いてるまりやとそのまりやの手を掴んでいる俺を見て、またギョッとしていた。
「ヒロ君! 何まりやちゃん泣かせてんの!?
女の子に抱き着かれてるなんてどういうことなの!」
麻生先輩の声にまりやが小さく震えたのが繋いだ手から伝わってきた。
「まりや、帰ろう?」
そう言っても、嫌だと首を横に振るまりや。
「ちゃんと話をするから。だから、聞いて」
座り込んだまりやと同じ目線で優しく語りかけると、まりやは頷いてはくれなかったけど、さっきみたいに拒絶することはしなかった。
「麻生先輩、まりやのことありがとうございました。
でも、ここからは俺に任せて下さい」
俺達の様子を見ていた麻生先輩は、大きく息を吐く。
「さすがヒロ君だね。オレじゃ、まりやちゃんを止めることできなかったかも。
やっぱり、ヒロ君には敵わないなぁ」
そう言うと、麻生先輩は来た道を戻って行った。