「あ、彼女さんだ。
今の見られちゃったかな」
クスっと笑う篠原。
「お前……わざとだろ」
まりやがいると知っていて、俺に抱き着いてきたんだと察した俺は篠原を睨むと、俺も急いでまりやを追いかける。
「まりやちゃん待って!!」
必死に走ってるまりやの足は止まるどころか、どんどん加速していて逃げるように走っていた。
麻生先輩の足でも追いつけないくらいの速さで走るまりやに俺は、麻生先輩を抜いて手を伸ばす。
走ってるからバランスを取りづらくて、何度か手を伸ばしようやくまりやを掴まえる。
「はぁはぁはぁ……っ」
肩で呼吸を繰り返して、同じように荒い呼吸をするまりやの手をぎゅっと握る。
それに気付いたまりやは、やっぱり泣いていて、俺が手を握った相手だとわかると、嫌がるように手を離そうとする。
「まりや!」
「いや……! 離して!」
こんなにまりやに拒絶されたのは初めてで、ショックを受ける。
だけど、まりやの受けたショックに比べれば、俺のショックなんて小さいものだ。