「まりやは松っちゃんが篠原に告白されたこと知ってる」



背後から声がしてびっくりした俺と光は同時に振り返る。



そこには帰ったはずの米倉がいて、俺を真っ直ぐ見ていた。



「米倉……。それ本当なのか……?」



「嘘でこんなこと言ってどうすんの。

クラスの子からその話を聞かされて、まりや動揺してた」



まさか、まりやが昨日のことを聞いたなんて知らなくて、俺の背中に嫌な汗が流れていく気がした。



「やっぱり……。まりやちゃんに言ってなかったの?」



「言ってない」



「なんで!?」



米倉から責められる形になり、目を逸らす。



「そんなのあいつを不安がらせたくないに決まってるだろ。

それに、ちゃんと解決してから話そうと思ってたから」



「こんな時だからこそ、ちゃんと伝えるべきだよ。

オレが言うのはおかしいかもしれないけど、純礼のことでまりやちゃんが傷つく姿だけは見たくないんだ」



光が辛そうな顔を俺に向けて、その横で米倉も静かに頷いている。