少しだけ落ち着きを取り戻した私は、家に帰ろうと麻生先輩と学校近くの公園を通りかかる。



夕暮れ時の公園に元気な子供たちの声が響く。



それを聞きながら、小さい頃よく大翔君と谷山君と一緒に遊んだことを思い出す。



「あれ? あそこにいるのってヒロ君じゃない?」



麻生先輩に突然ヒロ君と名前を出されてドキリとする。



先輩が指差ししてる方向を見ると、確かに公園の入り口の近くで大翔君が立っていた。



もう家に帰ってると思い込んでいた私は、変に緊張してきてどうしようと焦り始めた。



「ほら、ヒロ君いるんだし、ちゃんと話してきなよ」



背中を押してくれる麻生先輩に頷くと、ゆっくりと近付いていく。



私がこんなところにいたらきっと驚くよね。



ドキドキしながら近付いていき、進んでいた足が止まる。



遠くからでは見えなかったもうひとりの姿。



大翔君の体で隠れていて、私達からは見えなかったんだ。



また私の心臓が嫌な音を立てる。



そこにいたのは、篠原さんだった。