昨日のことと言われて、すぐに麻生先輩も知ってるんだと気付く。
私の顔を見ていた麻生先輩は「やっぱりね」と漏らした。
「ヒロ君から聞いたの?」
それにはすぐに違うと首を横に振る。
「そう。本人から聞いたんじゃないなら、ショックも大きいかな。
まりやちゃんは昨日のこと知ってるのに、どうしてヒロ君に言わないの?」
どうして……。そう言われて、自分はどうしてだろうと考える。
大翔君の気持ちが篠原さんに向くなんて思わないけど、どうしてこんなにショックなのかわからない。
自分のことなのに、ハッキリとした答えが出なくてまたモヤモヤしたものが胸にこみ上げてくる。
「他人の口からじゃなく、ヒロ君本人の口から聞いていたら少しは気持ちが違ったのかな」
麻生先輩の言葉にハッとする。
これからはちゃんと言葉にしてくれる。
そう言っていた大翔君が、篠原さんに告白されたことを私に隠していた。
それにどんな理由があるのか私にはわからないけど、私がこんなにもショックだった理由が何となくわかった気がした。
今までは同じようなことがあっても、大翔君は必ず私に言ってくれてた。
すぐに不安がってしまう私のことを思って、ちゃんと伝えてくれた。
でも、今回は何も言ってくれなかった。