その後も放課になるたびに、何度か大翔君が私に話しかけにきてくれたのに、私は聞く勇気がなくて栞を連れて逃げていた。



どうしてこんなに不安になるのか自分でもわからない。



帰りもHRが終わったと同時に教室を出てしまって、こんな態度を取ってしまう自分が凄く嫌になる。



真っ直ぐに帰る気にはなれず、少し時間を潰して帰ろうと昇降口を出ると、麻生先輩に手を掴まれる。



「まりやちゃん帰るんでしょ?

オレも一緒に帰っていいよね」



嫌とは言えない空気に渋々頷く。



麻生先輩と一緒に学校を出ると、特に目的もなくブラブラと歩く。



学校を出てからひと言も話さない麻生先輩を珍しいと思いながらも、やっぱり私の頭の中は大翔君のことでいっぱいだった。



「まりやちゃんが今何を考えてるのか当ててあげようか」



いきなり話を振られて呆然とする。



「まりやちゃんは、ヒロ君のこと考えてたんじゃない?」



「……っ!」



言い当てられ、声が思わず漏れそうになる。



「昨日のこと、聞いたんだよね?」