「こんなところで何してんの?」
宮内君が声をかけてきて、私は一瞬だけ目があった大翔君から目を逸らしてしまった。
大翔君は何も悪くないのに、こんな態度取ったら変に思われちゃう。
「あー、また麻生先輩てば、まりやちゃんに言い寄ってたんでしょ」
「え、違うよ。オレは……」
言いかけてやめた麻生先輩が心配そうに私を見ているのを気配で感じる。
でも、私は先輩のいる方を見ることができない。
だって、大翔君にどんな顔していいのかわからないから。
でも、そんな気持ちを知らない大翔君は、心配そうに私に近付いてきた。
「まりや? 具合でも悪いのか?」
私に触れようと大翔君が手を伸ばす。
それにビクッとして栞の後ろに隠れてしまった。
「……まりや?」
あからさまに避けるような態度を取った私に、勘のいい大翔君はすぐに気が付く。
「先輩、こいつに何かしました?」