「まりや……」
私が笑っても栞の表情は硬いまま。
私の心の中は、どうして?って疑問ばかりでいっぱいだった。
「まーりやちゃん♪」
突然名前を呼ばれてビクッとする。
ゆっくりと視線を上げると、麻生先輩が不思議そうな顔で立っていた。
「また懲りずにまりやに会いに来たの?
今は取り込み中だから、帰ってよ麻生先輩」
「え〜。今来たばかりなのに、栞ちゃんてば冷たい」
わざといじける麻生先輩は、私の様子に気付いたらしくふざけるのをすぐにやめた。
「まりやちゃんどうしたの?
顔色悪いけど」
「あんたに関係ないでしょ。
ほら、まりやちょっと外の空気吸いに行こう」
栞が私を教室から連れ出して廊下に出る。
すると、麻生先輩もその後を追ってきて私の背中に声をかける。
「もしかして、聞いたの?」
あまりにも真剣な声に思わず振り向くと、麻生先輩の後ろ。
先生に雑用を頼まれた大翔君と宮内君が不思議そうな顔で立っていた。