昨日は大翔君帰ってきてからもいつもどおりだったし、特に変わった様子もなかった。
いつもは私が不安になるから、ちゃんと話してくれるのに。
どうして? 私には関係ないから言ってくれなかったの?
それに、どうして篠原さんが大翔君を好きだなんてそんなこと言うの?
そう思った時、ふとこの間彼女に会った時のことを思い出した。
大翔君に用事があると言っていた彼女の言葉を。
もしかしてあの時。
そう思っただけで、心臓がドクドクと嫌な音を立て始めた。
一気に不安に襲われて胸が苦しくなる。
「まりや大丈夫?」
俯いて何も言わなくなった私に、栞が声をかけてくれる。
それに心配かけちゃいけないと、何とか笑顔を作る。
「大丈夫だよ」
全然大丈夫なんかじゃないのに、嘘ついちゃった。