何も言わずに先輩を見つめるオレに、麻生先輩はふぅっと息を吐く。



「あの子がヒロ君に告白してきたのはなんでだろうって考えてたんでしょ」



ズバリ言い当てられ、恋愛経験豊富は伊達じゃないと妙に感心してしまった。



「どう考えてもおかしいからね。

宮内君にベッタリだった彼女が手のひらを返したように、ヒロ君が好きって言うなんて。

これは、何か目的があるんじゃないかと普通は勘ぐっちゃうものだよねぇ」



「そうなんですよね……。

まさか……大翔にまで手を出そうとか考えてないですよね!?」



麻生先輩に向かって問いただすと、困った顔を返された。



「あのさ、オレはキミの元カノじゃないんだから、そんなことわかるわけないじゃない」



確かにそうだ。



麻生先輩にこんなこと聞いたところで、何もわかるはずないのに。



純礼が大翔に告白してからというもの、何か胸騒ぎがして心が落ち着かない。



あいつが大翔とまりやちゃんの仲を壊そうとしてないかと最悪なことを考えてしまう。



そんな考えを浮かべてしまった自分の頭をまた横に振り、そんなことさせないと決意する。



女嫌いだってずっと思ってた大翔がオレにも言わずに、8年もの間片想いしてた相手。



それが、まりやちゃんだった。