大翔と別れたあと麻生先輩と帰り道が途中まで一緒だったオレは、純礼のことを考えながら歩いていた。
純礼が大翔のことを好きだなんて信じられない。
オレにあれだけ毎日会いにきてた純礼がどうして大翔を……。
大翔の話だとオレのために言ってくれたらしい言葉を純礼が勝手に勘違いしてるっぽかったけど。
それにしたって、いきなり大翔を好きだなんておかしい。
「元カノのこと考えてるの?」
麻生先輩と歩いていたことなんて、すっかり忘れていたオレはいきなり声をかけられて驚く。
「あ、センパイいたんスか」
「あのねぇ、それはないんじゃない?
オレの女の子限定の傘に男のキミを入れてあげてるオレを忘れるってどういうことなの?」
渋い顔をオレに寄越してくる麻生先輩に苦笑い。
なんだ、やっぱこの傘女の子限定なんじゃん。
期待どおりの答えを返されて、いつか先輩と似てると言われたことを思いだし、ブンブンと頭を横に振る。
オレがこの人と似てるなんて、死んでも認めたくない。
自分の方がまだマシだと思うんだけど。