ポリポリと頭を掻きながらも、さほど困ったようには見えない。
自分の身に起きたことじゃないから、関係ないといえばそうだけど。
「大翔、ごめん」
消え入りそうな声で光が俺に突然謝って来た。
「ごめん!
あいつがあんなこと言い出したの全部オレのせいだ。
オレがちゃんと自分で解決できてれば、こんなことにならなかったのに……」
俺に向かって深く頭を下げ続ける光を傘の中に入れる。
自分に雨粒が落ちてこないことに気付いた光がその顔を上げた。
「お前のせいだなんて思ってないから、そんな自分を責めるなよ」
「大翔……。ありがとう」
ぎこちなくではあるけど笑った光の背中をポンと叩く。
それから光と麻生先輩とは途中まで一緒だったけど、俺は買い物があるから適当な理由をつけて2人と別れた。