「脈がないのに、光君のこと諦めたほうがいいんじゃないって、この間言ってくれたでしょ?
それで、私も自分なりに反省したんです。
光君は、私のせいでトラウマができたって聞いたし、そんな私がいつまでも光君の側にいたらいけないって」
「だから、大翔を好きになったって?」
やっと声を出した光は、自分が濡れるのも構わずフラフラと篠原の前まで歩いてくる。
篠原の両肩を力いっぱい掴むと、彼女の体を揺さぶる。
「自分が何言ってんのかわかってんのか!? オレだけに迷惑かけるならまだいい。
でも、大翔やまりやちゃんが傷つくのは許せない。
幸せな2人の仲を壊そうとか考えてるなら、絶対にやめてくれ!!」
「光、やめろ」
光の強い力に顔を歪める篠原。
それを力ずくで止めてやめさせる。
「だって大翔!
こんなの黙ってられるわけないだろ!」
麻生先輩にも手伝ってもらって、興奮している光の体を抑える。
「わかってるから。お前の言いたいことは。
だから、少し落ち着け」
「大翔……」
光を落ち着かせると、篠原に向き直る。
「あのさ、俺あんたにそんなこと言ってないよな。
俺が言ったのは“脈がないってわかってんのに、光に執着するのやめたら”だったと思うんだけど。
それがどうして、都合よく変えられてるわけ」