「は……? ちょっと悪い冗談やめろって。

純礼、お前自分が何言ってるのかわかってるのか?」



やっとの思いで震える声を絞り出した光に、俺も表情を険しくさせる。



「冗談なんかでこんなこと言わない。

私ね、ヒロト君のことが好きになっちゃったの。

だから、光君のことをこれ以上困らせちゃいけないって思って」



マジで何言ってんだ、こいつ……。



光っていう接点だけしかお互いにない俺が好き?



どこをどうしたら、そんな感情生まれるんだよ。



それに俺は、こういう奴がいちばん嫌いだ。



外見だけいいからって、言い寄ってくる奴がいちばん嫌いなんだよ。



「関係ないオレが口出すの悪いんだけど、オレから見てもキミがヒロ君を好きになる理由が見つからないんだけど」



見るからに戸惑いと動揺を見せる光を落ち着かせるように麻生先輩が肩に手を置くと、光の代わりに聞きたいことを篠原に聞く。



「人を好きになるのに理由が必要なんですか?

強いて言うなら、ヒロト君が私のために言ってくれた言葉かな」



俺が言った言葉?



篠原に言ったことなんて数えるほどしかない。



まして、自分が好かれるほどの言葉なんて言った覚えもなかった。



小さく笑った篠原は、ゆっくりと口を開く。