「ヒロト君も久しぶりだね。

いつ見てもカッコイイ」



いきなり現れたかと思えば、何言ってんだ。



俺が意味がわからないという表情を返せば、聞いてもいないのにベラベラと勝手に話を始める。



「今日は大事なことを伝えようと思って来たの。

この間来た時会えなかったから」



綺麗に口元に笑みを浮かべると、光の前に篠原が立つ。



「私ね、光君のこと諦めることにしたの」



「え……? 諦めるって……」



いきなり伝えられたことに、光は上手く理解できてないように見える。



だけど、それを聞いていた俺より先に麻生先輩が口を挟む。



「あんなに毎日通ってたのに急な話だね。

女心は変わりやすいとはよく言うけど、どうしてそういう結論に至ったのか教えてほしいね」



こういうのは慣れてるんだろう麻生先輩は、俺達の誰よりも穏やかに篠原に問いかけた。



「う〜ん。こんなところで言っちゃうのは恥ずかしいんだけど……」



と言いながら、俺に振り向いた篠原は上目使いで見上げてきた。



傘の柄を両手で持って、俺を見上げた篠原は驚く言葉を口から放つ。



それに3人ともすぐには反応できなかった。