心配させちゃいけないと思っていたのに、こうして大翔君の体温を感じるとそんな気持ちどこかにいっちゃって、大翔君に甘えてしまう。



「何かあった?」



私の腰に手を回して優しく聞いてくれる大翔君に首を横に振って答える。



「米倉から電話もらったから。

お前を元気づけてやれって」



「栞が?」



思わず顔をあげると、私の額に大翔君の額がコツンと当たる。



その近すぎる距離に一気に体温が上昇していく。



「また麻生先輩に何かされたかと心配した」



至近距離で見つめる大翔君の瞳は本当に綺麗で、心配してくれてるのにドキドキの方が大きくなってくる。



「心配かけてごめんね。

でも、もう大丈夫。

大翔君がこうして抱きしめてくれたから元気でた」



自分でも現金だなって思う。



さっきまでは本当に不安で仕方なかったのに、大翔君が側にいてくれるだけでこんなにも心が落ち着くなんて。



「お前……そういうこといきなり言うの反則っ」



少し顔を赤くして困る大翔君に驚きつつも、それがたまにしか見られない可愛い姿で、胸の奥がきゅんとする。