「あー!! ムカムカするあの女!」
あれから栞と2人でドーナツ屋さんに来たんだけど、さっきから栞はこの調子で怒りが収まらないらしくコーラを飲んでは、篠原さんのことを口にしている。
「し、栞……落ち着いてよ」
「まりやはなんでそんな落ち着いてんの!?」
落ち着いてなんかないよ。
篠原さんに会ってからずっと不安な気持ちが心の中を占めている。
大翔君に何の用だったのかとか、凄く気になって仕方ないのに。
「絶対に篠原には気をつけなよ」
気を付ける……?
不思議そうにしてる私に栞が眉間にシワを寄せる。
「松っちゃん奪われないように、しっかりと掴まえておかなきゃってこと!
と言っても、松っちゃんはまりやにゾッコンだから、その辺は心配ないとは思うけど」
篠原さんが大翔君のことを……ってこと?
栞の言葉に、さっき校門前で彼女が言いかけた言葉を思い出す。
あの時言いかけたことを理解して、余計に胸が苦しくなる。
私が不安そうな顔をしていたのか、栞がぽんぽんと頭を撫でてくれる。