「自分が勝手に言って勝手にやってることじゃないですか。
自分で蒔いた種なのに、俺達のせいにしないでほしいですね」
はぁっと溜め息をつく麻生先輩に、容赦のない答えを返す大翔君。
参ってると言う割に何故か嬉しそうに見える麻生先輩は、こっそり見ていた私に気付きいきなり顔を近付けてきた。
「……っ!」
突然の至近距離に驚いて息を飲むと、大翔君がすかさず麻生先輩から守ってくれた。
「顔近付けすぎ。こいつに触るな」
本気で怒ってる大翔君の声は、以前にも聞いたことがあって今はそれに近いものがある。
さすがに麻生先輩もそれはわかったらしく、すぐに身を引いてくれた。
「そんなに怖い顔して怒らないでよ。
まりやちゃんが何か言いたそうな顔してるから、聞いてあげようと思っただけ」
突然話を振られた私は、大翔君と栞の視線を一気に受け止めることになる。
え……。
わ、私は別に何も言うことなんて……ないんだけど……。
「別に先輩に聞きたいことなんて、ありませんけど……」
言い難さを感じながら、ぎこちなく返すと栞が吹き出して笑い始めた。
何もおかしなことは言ってないはずなのに、お腹を抱えて大笑い。
麻生先輩もポカンと口を半開きでしばらく動かなくて。