コクンと小さく頷くまりやだけど、こんな可愛い反応されたらやめてほしいってお願いされても、もっとしたくなる。
顔を覗きこんだ俺と目を少しだけ開けたまりやと、視線が合わさった。
それがまた恥ずかしかったみたいで、屈んでる俺に顔を見られないように抱き着いてきた。
まりやの体をしっかりと受け止めて体勢を起こすと、背中をポンポンと優しく叩いてやる。
「ごめん。ちょっと意地悪したくなった」
クスクス笑いながら、子供をあやすように頭もポンポンして解放する。
「着替えてくるから、一緒に夕飯作るか」
リビングを出る時にまりやに言うと、まだ赤い顔で小さく「うん」と返事をした。
それを確認して、2階へと上がる。
部屋に入って、着替えるためにネクタイに手をかける。
その手を止めて、ふと考える。
麻生先輩のことは、とりあえずまりやに何もなければいいけど、光の元カノがあれで大人しくあきらめればいいんだけどな。
光の問題だから、俺が首を突っ込むのはって思ってたけど、あの元カノ……たまに見せるあの顔が気になる。
シュルっとネクタイを解きハンガーにかける。
着替えを済ませて、1階に下りた。