あれから、麻生先輩が大人しく帰ってくれて、俺も無事に家に帰ることができた。
「あ、お帰りなさい。大翔君」
リビングに入ると、洗濯物をたたむまりやが嬉しそうな顔で迎えてくれた。
それを見るだけで、麻生先輩からの疲れも吹っ飛ぶ。
鞄をソファに置いてまりやに向かって両手を広げる。
それに、首を傾げて見てるだけのまりや。
わかってないから自然と出る態度。
それがどれだけ俺には可愛く見えるか、こいつは知らない。
「ん。おいで」
言った俺に、意味をやっと理解できたらしいまりやは、急に顔を赤くしてゆっくり立ち上がる。
「でも、洗濯物がまだ途中で」
ごにょごにょと何かを言い訳にしてるまりやは、恥ずかしさをごまかそうとしてる。
その態度は俺には逆効果って、わかってないんだもんな。
「いいよ。とりあえずちょっと癒して」
なかなか俺の腕の中に収まってくれないまりやの手を掴み、引っ張ってその小さな体を腕の中に閉じ込める。