それから校門に向かって歩き出した俺は、歩く速度を速めたり落としたりして、後ろからついてくる人の様子をうかがっていた。
俺が足を止めればその人も止まり、再び歩き出せばその人も歩き出す。
何なんだよ、一体……。
構うことなく無視して歩き続けていると、校門のところでまたひとり見覚えのある姿が目に入った。
ここ数週間ずっと光のところに通ってる元カノ、篠原だ。
あっちも俺に気付いたようで、校門の外から友達でも知り合いでもないのに、小さく手を振ってくる。
「へぇ。なかなか可愛い子じゃない。
あれがヒロ君の浮気相手?
まぁ、まりやちゃんには負けるよね」
止まった俺の背後からぬっと顔を出して、校門の外にいる篠原を品定めする麻生先輩。
「浮気相手じゃないですから。
それより、いつまでついてくる気ですか」
背後にいた先輩から距離をとると、軽く睨みつける。
この人、言ってることがどうも軽すぎて、全部が信用できない。
「ついてくるなんてそんな趣味はないよ。
だって、ここの校門通らなきゃ帰れないじゃない? それよりも。
あの子、ヒロ君に用事があるみたいだよ」
先輩が指差した先の光の元カノは、先輩の言ったとおり何か言いたげに俺を見ていた。
次から次になんでこんなに面倒なことばっか起こるんだよ。
心なしか重くなりつつある足を進め、校門の方へと歩く。