「祥吾君、ヒロりんは心ここにあらずだから、一生懸命話しかけても君の労力が削られるだけだと思うよ。
まりやちゃんをあの磁石センパイに奪われないかと、内心ヒヤヒヤしてんだからさ」
「光その話を詳しく聞かせてよ。
ヒロが何もしないんだったら、俺だって黙ってないんだからな!
ヒロだからまりやのことあきらめたのに、あんなチャラいヤツになんて冗談じゃねぇ」
「あのさぁ、さっきからチャラいチャラいって連呼されると、何故かボクが傷つくんだけど」
俺が聞いてないと思って、光と祥吾が好き勝手な話を繰り広げている。
うるさくて向こうの話が聞こえねー……。
「だって、あいつチャラいので有名な先輩じゃん。
あ、お前も同類だっけ。光」
「一緒にしないでくれるかな~? 祥吾君。
オレとあの人じゃチャラさが違うの!
それにオレはこの間から女遊びやめたんだから」
「どうチャラさが違うってのさ。定規で測れるくらいなわけ?
てかさ、女遊び取ったら光に何が残るの」
「お前も何気に失礼なヤツだよね、ホント。
オレだってまともに恋愛したことくらいあるんだから、あの磁石と一緒にするなよな」
「うっせーんだよ。少し黙れ……」
低い声で放った言葉は意外にもクラス中に聞こえていたようで、クラスメイトが全員静かになる。
「うわぁ……チョーピリピリしてんじゃん。
光どうにかしてよ、このヒロの状態」
「いや、こういう時は触らない方がいいって。
地雷踏みたくないだろ、祥吾」