自分が思ってたことをいきなり言い当てられて、思わず大翔君を見上げる。
なんで、どうして私が思っていたことわかるの?
「麻生先輩がフラれたことないのは、自分から『付き合おう』なんて言わなくても、女が勝手に寄ってくるから。
今まで本気になって恋愛したこともなければ、告白だってしたこともない。
そんなことしなくても、好きだって言ってくれる奴がたくさんいたからだろ。
だから、まりやにあり得ないフラれ方をしたんだよ。ま、今までの日頃の行いの悪さが裏目に出たってことだな」
すごい……!
こんなに短い会話の中で、そんなことまでわかっちゃうなんて、大翔君凄すぎる!
――パチパチパチ。
「わー! すごいなぁ。ヒロ君てば、まるでオレの人生を見てきたかのような口ぶり」
拍手をしながら、私と同じことを思っていたらしい麻生先輩も驚いていた。
「そんなの、先輩が女好きでモテるって時点で大体察しがつきますよ。
来るもの拒まず去る者追わずで、本命を作らない人で有名なんだから、俺には一生理解できない考えですけどね」
「いやぁ、本当にびっくりだよね。
ここまで言い当てられたの初めてだよ。昨日からびっくりすることだらけ。
ヒロ君の言うとおりだけどね。自慢じゃないけど、オレ……今まで本気で恋愛したことないんだよ。
暗い過去があるとかじゃなくて、本気で恋をするっていう気持ちがよくわかんないんだよね」
遠くを見つめて少しだけ寂しそうな目をした麻生先輩は、すぐにニコッと笑う。
「まりやちゃんに興味があるのは本当なんだよ。
だってさ、学校一のイケメン王子ヒロ君のハートをがっちり掴んでる子だし、自分から興味が湧くってあんまりなかったことだから、なんかワクワクしてるっていうか。
でも、そんなオレの気持ちをバッサリと受け付けられないって断ってくれて、貴重な体験もさせたくれた子なんだよね」
申し訳ないなんて思わなくていいって大翔君には言われたけど、もしかして私が言ったことで、麻生先輩が傷ついてるんじゃ……。