「さ、オレと楽しく帰ろうか? まりやちゃん♪」



私が迷ってる間に、麻生先輩は勝手に帰ることを決めてしまった。



どうしたらいいんだろうと考え込んでいた。



結局、いい案なんて見つけられずに、先輩の思うままになっちゃってる。



「まりやちゃんて歩いて通学してるの?」



「はい。自宅から学校までは歩いて20分くらいなので」



「そう。オレはね、電車通学。

毎朝さ、同じ学校の女の子達に絡まれて大変なのよ、これでも。

あ、でも通勤する綺麗なお姉さん達も見られるから楽しいんだけどね」



「はぁ、そうなんですか。

なら送ってもらうなんて余計に悪いです。

反対方向ですから」



綺麗なお姉さん達っていう話には、どう返していいのか戸惑うけど、これで麻生先輩が一緒に帰るのをあきらめてくれたら……。



「いいのいいの。オレがまりやちゃんを送りたいだけだから。

それにしても、オレに興味ないのはショックだけど、もう少し驚くリアクションが欲しかったな。

きゃー! 麻生先輩ってモテモテなんですね! とか」



ひとりで女の子のマネまでして、軽く私が言ったことを受け流してしまう麻生先輩を断る理由が見つからないまま焦るばかり。



ど、どういう反応すればいいのかな、これは。