宮内君と元カノさんの話を宮内君本人から聞いた数日後。
あの日からほぼ毎日のように放課後になると、校門で元カノさんが待ち伏せしているらしく、宮内君は日に日に元気がなくなっているように見えた。
「朝から辛気臭い顔して、どうしたんだよ~光」
隣のクラスから谷山君がやって来て、元気がない宮内君に声をかけた。
「オレ、今は祥吾のその自由さが羨ましく思うよ」
「はぁ? お前大丈夫?
俺に羨ましいとか気持ち悪いんですけど」
「なんて言われようと、今は返す気にならないから、そっとしておいて」
宮内君のマイナス発言に意味がわからない谷山君は、眉間にシワを寄せて大翔君を見るけど、大翔君は人のことをベラベラ喋る人じゃないから、首を横に振って口を閉ざしていた。
大翔君には心配しなくていいって言われたけど、やっぱり私にとっても友達だし、何とか元気づけてあげたいけど、どう声をかけたらいいのかわからない。
「ヒカりん、かなり参ってるっぽいね。
まぁ、あれだけストーカーみたいに付きまとわれたら、誰だって嫌になるのは当たり前だけど」
栞も宮内君の過去を聞いたひとりだけど、いつもなら自分の意見を言う栞が珍しく何も言わなかったな。
毎日のように現れる元カノさんの影響で、宮内君に本命の彼女ができたっていう噂が学校中で広がってるみたい。
本当のことを何も知らない人達は面白がって噂をたてるけど、当事者にしてみたらきっと精神的に辛いと思う。
女の子に優しい宮内君が、あんなに女の子に辛く当たるところなんて見たことなかったから、私達にはわからない何かがきっとあるんだよね。