その日の夜。



まりやが夕飯の準備をしている時に、久しぶりに海外にいる母さんから電話がかかってきた。



『大翔~! 久しぶりね! 

どう? まりやちゃんとの同居生活エンジョイしてる?』



「たまに電話かけてきたと思ったら、ひと言目がそれって……。

他に言うことねーのか」



『もう、置いてきぼりにされたからって拗ねないの。

寂しいなら寂しいって素直に言いなさいよ~』



相変わらずの母さんに、思わず耳からスマホを遠ざける。



『ねぇ! ちょっと聞いてるの? 大翔ってば』



反応が返ってこない俺に電話越しに喚いてくる。



「そんなデカい声出さなくても聞こえてるって。

で、何の用?」



『んもー!! 可愛い息子に久しぶりに声を聞かせてあげようと思った母心を『何の用?』で済ますなんて!

そんな薄情息子に育てた覚えはないわよ!』