「声をかけられたのは、確かだけど……別に何もねーよ。

それにあの他校の女子が用事あったの、俺じゃなくて」



と、言葉を切ると、隣の宮内君に大翔君が視線を移す。



その行動を追うように、クラスメイト達の目も一緒に動く。



一気に注目の的となった宮内君は何も言わず、自分のことを指差して『オレ?』と大翔君に聞き返していた。



「おい! 光どういうことだ!」



「そうだぞ! 詳しく聞かせろよ」



男子達は一気に宮内君の周りに集まってきた。



だけど、どうしてこんな状態になってるかわからないという顔をしてる宮内君は、大翔君に目で問いかけている。



「はぁ……。俺に話しかけてきた他校の女子、お前に会いに来たんだよ。

名前は確か……篠原純礼(しのはらすみれ)」



「すみ、れ……?」



大翔君がその彼女の名前を口にした途端、宮内君の顔が青ざめる。



「何か、お前に用事があって会いにきたって言ってたけど」



宮内君の知り合いの人だったんだ。