まだ外が薄暗い早朝。
AM4時45分。
誰もいない明かりが灯る静かなキッチンで、できるだけ物音をたてないようにひとり作業する。
いつも作ってもらってばかりだから、感謝の気持ちも込めて渡そうと前から決めていた。
「できたーっ」
何とか出来上がった物を見つめて、喜んでくれる顔を想像するだけで、自然と頬が緩んでくる。
蓋を閉めて、淡いピンクとブルーの巾着型の袋にそれぞれ丁寧に入れる。
「大翔君が作ってくれるみたいには上手にできないけど、気持ちで勝負だよね」
出来立てホヤホヤの仲良く並ぶお弁当箱2つを見つめて、また笑みが零れる。
早く起きたついでに、朝食も用意して大翔君が起きてくるの待ってようかな。
今日、私が大翔君のために早起きしてることは、彼には内緒なんです。
悪いと思いながらも、大翔君がいつもセットしてる目覚ましのアラームの時間を少しずらしておいたの。
途中で起きてきちゃったら、秘密にしてたことが全部バレちゃうから。
アラームの時間をずらしたことは、あとでちゃんと謝っておかなきゃ。