八月が慌ただしく終わる。
社会人になってからは季節の変化がめまぐるしい気がする。

山形さんからキャラクター原案のOKが出て、私はシナリオ作成の方に取り組んでいた。
その間に前の絵本原稿の校正もしたりと慌ただしく時間は過ぎていった。


『葉山さんのイラストを元にポリゴンキャラクターを作ってもらっているんですよ』


山形さんと打ち合わせのついでに話をする。

よくわからないので説明してもらうと、ポリゴンとは多角的という意味で、この場合は三角形のことなんだそう。

キャラクターを立体的に書くための一要素で、ポリゴン数が多いほど繊細で立体的に出来るとかなんとか。

うーん、聞いてもよく分からない。


『簡単に言うと、最近のゲームのキャラクターはだいたいそれです』

「はい、その方が分かりやすいです」


つまり、もうゲーム会社の仕事になっているってことだな。

智くんも見たかしら。
私の作ったキャラクターをみてどう思うんだろう。

彼のことを考えると胸が痛い。
だけどそれは辛いだけじゃなくて、果実をギュッと握りしめたのような軋むような痛みとともに何かが湧き出してくるような感覚がある。

どこかでつながってる。
私はそれが嬉しいんだ。

彼と私の間が途切れていないことが。

自分の気持ちを理解する度に、このままじゃいけないって思う。
私も一歩踏み出さなきゃ。