「ね、ゲームしようよ。対戦」
「ん。いいよ」
リビングに場所を移して、格闘ゲームの対戦で盛り上がる。
その内に、メールを一件受信した。
【彩治の間抜け顔】
そんな題名で来た西崎からのメールには、息切れしてヘロヘロになったところを下からのアングルでとった彩治の顔が写っていた。
帰りのかけっこか。
西崎の勝ちだったのかな。
それにしても彩治の顔ひっどい。
「これ見てよ、壱瑳」
壱瑳も元気づけたくて、私はそれを見せた。
壱瑳は口元を緩ませた後、私をじっと見る。
「……西崎ってさ」
ポソリとつぶやく壱瑳。
「うん?」
「……んー、やっぱなんでもない」
「なによ。変な壱瑳」
何気なく、私の服の裾を掴む壱瑳に胸はまだ少し軋む。
私は壱瑳の双子のお姉ちゃんで、壱瑳を好きな女の子。
その割合は今は7:3くらい。
少しずつ、少しずつだけど。
私は壱瑳のお姉ちゃんに戻れてる。
私は少しホッとしながら、新しく連絡先が加わったスマホを弄んだ。
【Fin. 】