*
そして夜、帰ってきた壱瑳は私の部屋に来て、ベッドに横板に背中を預けて漫画を読み始めた。
彼女に渡せたのかな。
気になるけど、壱瑳の表情とか醸しだす空気がそこまで晴れ晴れしていないので聞きづらい。
「今日ねぇ、彩治と西崎とカラオケ行ったんだよ」
壱瑳のページをめくる動きが止まり、私の方をじっと見た。
「彩治……はともかく西崎と?」
「うん。二人で誘いに来た。ホワイトデーのお返しだって」
「ふうん」
「結構楽しかったよ。壱瑳も居ればよかったな」
「……そっか」
壱瑳の口元が緩んだ。
「……壱瑳は? 今日どうだった?」
小さい声で聞いてみたら、「うん」と返事がある。
その声に、落ち込んだ響きは無かったから、渡せたんだなというのは分かった。
でもその後が続かない。
上手く行ってれば何かしら言ってくるかなって思うんだけど、黙り込んだところを見ると特別彼女からの反応は無いんだろうな。
壱瑳が私やお兄ちゃんの傍から離れない時は、不安な時ばかりだから。
そして夜、帰ってきた壱瑳は私の部屋に来て、ベッドに横板に背中を預けて漫画を読み始めた。
彼女に渡せたのかな。
気になるけど、壱瑳の表情とか醸しだす空気がそこまで晴れ晴れしていないので聞きづらい。
「今日ねぇ、彩治と西崎とカラオケ行ったんだよ」
壱瑳のページをめくる動きが止まり、私の方をじっと見た。
「彩治……はともかく西崎と?」
「うん。二人で誘いに来た。ホワイトデーのお返しだって」
「ふうん」
「結構楽しかったよ。壱瑳も居ればよかったな」
「……そっか」
壱瑳の口元が緩んだ。
「……壱瑳は? 今日どうだった?」
小さい声で聞いてみたら、「うん」と返事がある。
その声に、落ち込んだ響きは無かったから、渡せたんだなというのは分かった。
でもその後が続かない。
上手く行ってれば何かしら言ってくるかなって思うんだけど、黙り込んだところを見ると特別彼女からの反応は無いんだろうな。
壱瑳が私やお兄ちゃんの傍から離れない時は、不安な時ばかりだから。