「でも振ったし。それでも友達ってのは変わらないもん」

「だーかーら。それが残酷って言ってるの。振ったんなら放っておいてあげればいいじゃん」

「彩治がそれでいいって言ってるんだからいいの」


そうだよ。
ぎこちなくなりそうな時、彩治が言ってくれた。

【俺たち友達だろ。見損なわせんな】って。

それがどれだけ私の気持ちを楽にしてくれたか、言葉では伝えられないほど。

彩治に恋愛感情は持てない。
でも彩治が私を友達だって思ってくれるなら、私はずっと彩治を親友として扱うんだ。


「ほら、席につけよー」


担任がやってきて、明桜ちゃんは慌てて立ち上がり自分の席に戻った。

ホワイトデーか。
義理チョコたちには私がまたクッキーを焼けばいい。
そのつもりで、壱瑳は私にチョコを食べさせるんだろうし。

だったら。
私に見せてくれなかったあのチョコレートには、一体どんなお返しをするの?