そうだね。
普通ならおかしいかもしれない。
でも私もそうだから分かるんだ。
私と彼は、あんなに小さい時から、お互いを心の一番深いところに置いてしまった。
恋は一生に何度でもする。
でも私は、その何度もを彼としてきた。
彼との恋はいつでも夢みたいな恋だった。
やがてぱちぱちと大きな拍手が響き、その出処を見ると新見さんだった。
拍手の波はやがて室内に広がる。
私と智は恥ずかしくなって顔を見合わせた。
「よっし、大成功」
颯くんがガッツポーズを取る。
「は?」
「聞きましたか皆さん。智のこの一途な……っつか、執念のような愛を」
わあっと盛り上がる周りを他所に、私達は血の気が引いていく。
「何? これ、……罠?」
「おっまえらぁ……」
智の拳が震えているのは気のせいじゃないだろう。
「めでたい日になんてことすんだよ!」
「だってさ。俺たちあんなに心配して助言したんだぜ? なのに結局別れちゃってさ。あの後明菜大変だったんだぞ。荒れて荒れて」
「余計なこと言わないでよ、颯」
「あれだけヤキモキさせられたんだから、最後ぐらい仕返ししたっていいだろ」
ニヤリと笑って智を覗きこむ颯くん。
智は顔を真っ赤にして頭をくしゃくしゃとかいた。