「さっちゃんもどう? 俺のほうが智より良い男じゃない?」


背の高い颯くんが、腰をかがめて私の顔を覗き込む。
顔が近くて、変な汗が出る。
イケメンスマイルに見つめられて言葉が出せない。


「中津川くん、私だって綺麗になったでしょう?」


芸能人級にカッコイイ颯くんと綺麗な新見さんに、それぞれに詰め寄られてしまった私達。


ちょっと待って。
これ、結婚式の二次会でしょう?

あり得ないってこんな展開。

更にあり得ないことに、私と颯くんの間に信也くんまで入ってくる。


「ちょっと待ったぁ。そういうことなら俺だって立候補するぞ。紗優ちゃん先輩! 今からでも遅くないよ。智なんかと離婚して俺と結婚しよう?」

「はぁ?」


それに対し、超絶不機嫌な声を上げたのは智くんだ。

新見さんの腕を振りきってつかつか歩いてくると、私から颯くんと信也くんを引き剥がし、守るようにぐっと肩を抱いてくれた。


「お前らいい加減にしろよ。俺達は今日結婚したばっかりだっつの。幸せの絶頂だっつの。颯と新見の痴話げんかにも、夏目の世迷い事にも付き合ってらんねーの」


「いやぁ。でもさっちゃんはどう? 客観的に見て俺のほうがいい男でしょ。金も稼ぐよ?」