「はいはい、触らないでくださいねー。さて、皆さん懐かしの中津川智くんと葉山紗優さん。本日めでたくご結婚されました」

まるで珍獣のように皆に紹介され、私達は皆の拍手を受ける。

恥ずかしくなって智を見上げたら彼は笑い返してくれたけど、それが逆に冷やかされる原因になってしまって、私は何処を見たらいいのか分からなくなってしまった。


会場内は大きなテーブルが三つ配置され、一つのテーブルに五人程度座っている。
私達はそれらが見渡せる席を用意され、高砂よろしく隣り合って座った。

でも、結局皆と話したいから、グラスを持って移動している内にごっちゃになってしまったけれども。

私の同級生が集まるテーブルでは、和奏が面白おかしく私達の事の顛末を話している。

私が近づくと、木下先生が腕を引っ張って隣に座らせた。

面白くて憧れてた木下先生。
おじさんになったなぁ。


「先生、お久しぶりです」

「紗優、おめでとう。いや、教え子同士が結婚するなんて教師冥利に尽きるなぁ」

「結構ありそうですけど。他にないですか?」

「俺が呼ばれたのはお前たちだけだぞ?」

「そりゃ先生の人気がないからじゃないのぉ」


向かいから和奏の冷たい声が飛ぶ。


「そ、そんなことはないぞ」

「だったら先生、今まで同窓会とかのお呼ばれありますか?」

「え? やったのか?」

「やりましたよ。大学の時に一回、二年前くらいにもう一回。あれ先生いないなーって思ってたんですけど、幹事の子に嫌われてたんじゃないですか?」

「そんなバカな! 誰だ幹事!」