まじまじと彼女を見ていると、居心地悪そうに目を伏せられた。
「今、化粧品の会社で働いているんです。それで宣伝がてらきっちり化粧するようになっただけ」
「販売?」
「販売企画って言えばいいんですかね。店頭で売るんじゃなくて、商品販売のコンセプトとかを練って企画を出す部署です」
「へぇ」
難しいことは分からないけど、やっぱり新見さんは格好いい。
「後でうちの製品プレゼントします。葉山先輩は元がきれいなのできっと映えますよ」
「あはは。ありがと」
「話はそろそろ終わり。さあ、行くよー」
和奏に引っ張られるようにして、個室に入る。
私と智は隣同士に並べられて、和奏が扉を開けた瞬間に、後ろの新見さんに同時に背中を押される。
入った瞬間は真っ暗だった。
そして、クラッカーの弾ける音とともに明かりがつく。
火薬の匂いが消える前に、私達の頭に紙吹雪が落ちてきた。
「おめでとう、智くん、紗優」
和奏の声と同時に、わっと言う歓声が上がった。
そして十数人の姿が一気に目に入る。
「紗優ちゃん先輩。俺、俺、夏目ですっ」
「智、久しぶりー!」
「紗優ー。おめでとー!」
見たことある顔が一杯。
高校の時のクラスメイトや、部活の友達、ああ先生までいる。