「ご結婚おめでとうございます」
ペコリ、頭を下げられて私達が顔を見合わせていると、和奏が隣で「あ。そうだ。言ってなかった!」と慌て出す。
「おう、サンキュ」
智が笑い、新見さんも笑い返す。
二人は今も仲がいいのかな。
同棲期間中、特別皆で集まろうって時は無かったけれど、たまに智が颯くんと飲みに行った時なんかは、もしかしたら新見さんも一緒にいたのかも。
胸がきゅっと苦しくなる。
何だろ。
私、今日から智の奥さんなのに。
なんでこんな風に余裕なくなっちゃうんだろ。
新見さんは私の隣にたつと、私より十五センチは高い身長をかがめて耳打ちする。
「一回別れた時は心配しました。私、余計なことしたんじゃないかって」
私は慌てて首を振った。
「ううん。新見さんは教えてくれただけだもん。決めたのは全部私。後悔はしてないよ。……ちゃんと戻れたし」
「そうですね。私もほっとしました」
私が笑うと、新見さんはようやく笑ってくれた。
その顔がまたキレイで、女同士なのにドキドキしちゃう。
高校の時はあんまりお洒落っ気もなかったし、単純に格好いい女の子としか思ってなかったけれど、女らしさまで手に入れられてしまったら最強だ。
今新見さんに智が好きって言われたら、私どうするだろう。
こんな人相手に戦えるかしら。