「あーきたきた、ここだよー!」
お店の前で待ち構えていたのは和奏だ。
和奏は現在バリバリのOLさん。
あまり生活時間が合わないので、会うのは久しぶりだけど、たまにメールとかで連絡はとってる。
髪が短くなっていてアクティブな印象になった。
「待っててくれたの? 和奏」
「打ち合わせがてらよ。主役だから全員揃ってから仰々しく登場してもらいます。ちょっとこっちで待ってて」
話は通してあるから、と私達は店の裏口へ連れて行かれる。
入るとすぐ事務所っぽいところに出た。
お店の人に頭を下げると、ウェイターの格好をしつつパソコンに向かっていた人が反対側のドアをさして、「そこから厨房にでて、入口側に回れるから」と教えてくれる。
ようやく冷房の効いたところに入れて、ひとごこちつく。
和奏はニヤニヤと笑いながら私たちを舐めるように見た。
「いやいや、しっかし、紗優から話聞いた時はびっくりしたよぉ。でも安心した。智くんと別れてからの紗優って、なんか腫れ物みたいで話しかけづらかったんだもん」
「あはは。ご心配をお掛けしました」
「やっぱさ。紗優には智くんがあってるよ」
「和奏先輩、いいこと言う」
智が嬉しそうに同意した。