「ご苦労様。朝から疲れたでしょ?大丈夫?」


隣りで藤沢さんと田辺くんへの送信を見守っていた榎本さんがそっとレモン味の飴を置いてくれた。さりげない気遣いをこれから見習いたい。榎本さんには仕事以外にもいろいろ教えてもらった。女として出来ることも教えてもらった。実践出来る日が来るといいな。


「ありがとうございます。全然大丈夫です」


「さすが、若いわね。もう私がいなくても大丈夫ね」


引き継ぎはほぼ全部完了している。今日は、榎本さんが辞めることで挨拶にと取引先の人が来社予定になっているので、後任として挨拶をする予定になっている。


「いえいえ、まだ榎本さんの足元にも及ばないですよ。ほんと延長してもらえて助かりました」


榎本さんのご主人の赴任が少し伸びたので、榎本さんの退職も2週間伸びた。榎本さんは「都合で変えて悪いわね」と言っていたけど、私にとってはとても助かることだったので、大喜びをした。