「お兄ちゃん、香奈さんと結婚するんだよね?」


「あはは、葵に心配されると思ってなかったよ。俺はもちろん結婚するつもりだけど、俺だけの気持ちだけでは出来ないしね」


クッキーを食べ終えたお兄ちゃんはどこか遠い目をした。会えない香奈さんを想っているのかな?香奈さんはお兄ちゃんに会いたいと思わないのかな?


「香奈さんが結婚したくないとか言ってるの?」


「葵にしては鋭いとこついてくるね。ま、成るようになるさ。焦ることもないしね。あははー」


結局、お兄ちゃんはまた笑って誤魔化した。私の心配なんて無用なんだろうけど、大事なお兄ちゃんだから、やっぱり幸せになってもらいたい。

お兄ちゃんだけでなく里沙にだって、友香にだって幸せになって欲しい。

私の幸せはまだまだ先かな。今は仕事を覚えることが大事だから。