不思議だから聞いてはみるが、いつも笑って誤魔化される。だから、それ以上追及は出来ないし、しようともしない。


「あの藤沢さんがクローバーの人なんでしょ?沖縄で見たときは遠目だったから、良くわからなかったけど、わりとイケメンだね。でも、私はあまり好きになれないな。だって、別れたいのに別れないなんて変な人だもの。逆玉を狙ってるようにしか見えない」


「え?でも、狙ってないって言ってたよ」


「それは建て前でしょ?本当はやっぱり狙っているのよ。だから、好きでもないのに付き合えるんだよ。なんか意外に不誠実な人だよねー」


不誠実…。里沙の言葉が心の中で響いた。藤沢さんの話は理解しがたいものだったけど、私には不誠実とは感じなかった。

でも、あそこにいた他の人はみんなそう思ったのかもしれない。私の考えが甘いのかな。


「ねえ、お兄ちゃん。藤沢さんって、不誠実だと思う?」