彼女とラブラブ…胸に何かがグサッと刺さった感じがした。

研修中に何度か小島さんが藤沢さんのもとに来ていた。そのたびに私の胸は痛んだ。そのたびに運命の人じゃないと自分で自分に言い聞かせて、平常心を保った。


「俺のことはどうでもいいんだよ。萱森さん、田辺の誘いなんて遠慮なく断っていいんだからね」


少し意地悪で、楽しそうな顔をする藤沢さんと目が合う。すぐに逸らして、残りの味噌汁を飲んだ。


「えー、ちょっと、何を葵に言うんですか？邪魔しないでくださいよ」


「あ、私、先に戻ります」


「え？葵？」


立ち上がって、食器を片付けるためトレイを持った私の腕を田辺くんが掴む。

何でしょう？離して…

声を出さないで、目で訴えた。


「今夜。どうするの？」


「今夜？あ、ごめんね。用事があるから」


「じゃあ、また今度にしよう」


「あ、うん」


「よろしく」


田辺くんが離してくれたので、私は急いで食器返却口へ行った。