元気があるというだけの理由で、期待されても困る。元気しかないのだから、期待に応えられない。叩かれた肩の荷がずしんと重い。

荷が重くても、教えられたことは、ちゃんと覚えなくてはならない。新人とはいえ、れっきとした社会人。ミスは許されないから、榎本さんが教えてくれるどんな小さいことでもメモをとった。


「お昼は一緒に食べようか?萱森さんはお弁当?」


「いえ、社食に行こうと思っていて」


「じゃあ、行きましょう!」


まだ一度しか利用したことのない社内食堂は、うちの会社だけでなくて、このビルに勤める全員が利用出来る食堂となっている。

カフェのように明るい食堂は、入り口が混雑していたけど、かなり広いのて余裕で座ることが出来た。二人用のテーブルに榎本さんと向かい合った。


「榎本さん、それだけですか?」


私は、唐揚げ定食を買ったのに、榎本さんは野菜スープだけだ。


「お弁当あるから」