「私が思うにはね、運命の人じゃなかったんだよ。他に運命の人はいると思う。きっと、これから出会う。だから、あの人はやめたほうがいい。彼女がいる人を好きになってもいいことないだろうしね」


やっぱり友香もお兄ちゃんと同じ意見だ。運命だと感じた人は違った。運命の人は別にいるということ?


「私の運命の人はどこにいるのかなー」


「クスッ、意外にもう出会っていたりして」


「えー、それはないと思う」


藤沢さん以外にそんなふうに感じた人はいない。


「じゃあ、これからだよ」


これから…うん、きっとこれからだ。この広い空の下のどこかに運命の人がいるはずだ。いつ会えるのかな。

私はこれから出会うと思われる運命の人を思い浮かべる。シルエットだけ浮かび上がる運命の相手が、どんどん鮮明なものに変わって…藤沢さんになる…

ダメだ!ダメ、ダメ!

消えろ!

天を手で仰いで、妄想した藤沢さんを消す。