「萱森さん、覚えられる自信がないんでしょ?すぐに覚えるのは無理でも、一緒に働いていけば、自然に覚えられると思うよ。ほら、子供の頃、同級生の名前だって、いつの間にか覚えていたでしょ?」


「ああ、確かにそうですね!」


藤沢さんの説明は本当に分かりやすい。


「クスッ。葵、一緒に頑張ろうね」


「うん」


一緒に頑張る同期かいるだけでとても心強い。

課ごとに挨拶を済ませた。緊張はしたけど、拍手で歓迎してくれて、心が落ち着いた。


「ねえ、葵はどこに配属になりたい?」


「んー、どこかなー」


数日前までは藤沢さんのいる営業部と思っていたけど、諦めるべき相手がいるところは避けたほうがいいよね?それに、営業部は一番忙しそうだったから、私には向いてないと思う。

配属されたら、絶対お荷物になる自信があるもの。


「藤沢さん、どこに何人配属予定とかあるんですか?」


友香が前を歩く藤沢さんに話しかける。


「ん?ああ、あるよ。知りたい?」