このまま、放っておいても乾きそうだ。

「そうか?俺は寒いんだけど」


「ええ?そうなの?じゃあ、早く行こう」


太陽が乾かしてくれるなんて、悠長に構えている場合ではない。幸紀さんが風邪を引いては困る。早く着替えないと。


私たちは手を繋いで、脱いだパンプスと靴まで歩く。

砂浜には二人の足跡が残る。

しかし、すぐに波が消していく。消してもまだ足跡は続く。波が届かないところまで歩いてきた。


海の方に体を向けた。

ああ、幸せだな。


「幸紀さん」


「ん?」


「幸せだね」


「俺は葵がいればいつでも幸せだよ」


甘い言葉のあとに、甘いキスをくれる。

下半身はびしょ濡れで冷たい私たちだけど、心は温かい。


この幸せがずっと続きますように。


青い空の下で誓った。


「ずっと一緒だよ」


「うん、絶対に離さない」


「愛してる」

 -END-