「でも、せっかく頂いたので、クローバーだから、良いことあるといいなとつけてました」


「へー、良いことあった?」


それは、あなたに会えたことです。


「幸紀ー」


またしても邪魔が入った。私たちが話していると邪魔が入ることが多いような。


「由里…」


サラサラボブヘアの人が入ってきた。


「終わったなら、帰ろうよ。お腹空いちゃった」


由里という人が藤沢さんの腕を掴む。そして、私を上から下まで見て、睨んだ。

怖い。この人、もしかして…


「こちらの方は、藤沢さんの彼女さん?」


またもや田辺くんが聞いてくれた。つくづく役に立つ男だ。


「ああ」


肯定されてしまった。思い出してもらえて、喜んだのは束の間だった。


「総務部の小島由里です。よろしくね。幸紀、行こう」


「ああ。じゃ、お先に」


「お疲れさまでした」


藤沢さんは、彼女が現れてからは1度も私と目を合わせてくれなかった。私を見なかった。