「それ、読んでるの?おもしろい?どんな話?」


「え?あ…まだ最初のほうしか読んでないんですけど、恋愛小説です」


主人公は30代前半の女性で昔の同級生に再会するとかいうストーリーだ。


「へー、恋愛小説ね。葵はどんな恋愛したいの?」


「はい?どんなって…んー」


私はどんな恋愛がしたい?具体的に考えたことがなかったけど、運命を感じられる恋愛が理想かもしれないな。ちょっとロマンチックな展開がある恋愛とかもいいな。それでいて、刺激的な大人の恋愛とか。


「葵?」


「あ、ごめんなさい。つい…」


「フッ、考えちゃった?何を考えたの?」


ギュッ


え?手…握られている。やばい。心臓の動きが早くなる。

握られた手をどうしたらいいのか分からなくて、藤沢さんを見る。楽しそうな顔をして、笑ってる。私の反応を楽しんでいるかのようだ。